CCライセンスは何故ソフトウェアには適さないのか

故あって CCライセンスを調べている時に、クリエイティブコモンズジャパンの FAQ に、 CCライセンスはソフトウェアには使わない方がよい、ということが書いてあるのを見つけた。 どういう理由でそう主張しているのか知りたかったのだが、詳しいことが書いていない。 CCジャパンの FAQ は古いもののようで、本家の FAQ に明らかに追随していないので、 本家FAQ を読んだついでに、備忘のために和訳しておく。

元テキスト

CCライセンスをソフトウェアに適用できるか?

我々は、CCライセンスをソフトウェアに使用しないことを推奨する。 その代わりに、既に利用可能な、非常に出来の良いソフトウェアライセンスのひとつを 使用するように強く奨励する。 FSF が作成したライセンスや、Open Source Initiative が “open source” として リストしているライセンスを検討するようにお勧めする。

ソフトウェア専用のライセンスとは違って、CCライセンスはソースコードの配布という 観点を持っていない(その観点はソフトウェアの自由な再利用と改変を保証するために 非常に重要であることが多いのだが)。 また多くのソフトウェアライセンスはパテント権を扱っている (パテントは、ソフトウェアにとっては重要だが、他の著作物にはあまり当てはまらない)。 さらに、CCライセンスは現在のところ主要なソフトウェアライセンスとは互換ではなく、 従ってCCライセンスの作品と他のフリーソフトを統合することが難しい。 既存のソフトウェアライセンスはソフトウェアに使用することに特化して 設計されており、CCライセンスと似たような権利群を提供している。

CC-BY-SA 4.0 ライセンスは GPLv3 に対して一方向の互換性がある。 この互換性は、コンテンツが、分離も識別もできないような形態で ソフトウェアコードに統合されるような状況のために設計された。 この互換性を利用する前には特別な熟慮が必要だ。詳しくは別項を見よ。

また、CC0 はGPL互換で、ソフトウェアにも適切である。詳しくは別項を見よ。

CCライセンスをソフトウェア自体に使用することは推奨しないが、 ソフトウェアの説明書とか、ゲームアートや音楽などの独立性のある要素には CCライセンスが使える可能性がある。

(ここまで)

解説

CCライセンスがソフトウェアに適さない理由は、主に、 ソフトウェアの実体がソースコードにあるからである。

比較としてイラストを考えると、イラストの複製・再利用を認める場合、 PNG や JPG などの完成品が自由に複製・再利用できれば基本的に充分で、 Photoshop の元データとかまで公開する必要は通常は無い。

しかしソフトウェアは、コンパイル済みのバイナリでは再利用や改変が難しく、 元となるソースコードの公開が必要である(オープンソースというのはまさに そういう意味だ)。

このような構造的な差異があるため、CCライセンスはソフトウェアに適さない、 と主張しているのであろう。