CiNii Web API

PlotNet のサイトを作っていて、文献情報をいちいちコピペするのが 面倒なので、外部DBから取って来れないものかと思い、まずは CiNii の API サービスを調べてみた。

まず “CiNii API” 等でググってみると、検索上位には CiNii の公式サイトが並び、 その他は「試しにちょっと使ってみた」程度のページが数える程度出てくるだけで、 世間ではあまり流行っていない、という印象を持った。 この API サービスが始まったのは 2009年頃のようで、その当時は NII が API を使用したアプリ開発のコンテスト を開催したようだが、2009, 2010年に 1回ずつ開催しただけで終わったようだ。 一方で API の開発は継続されており、 2013年に JSON-LD 形式に対応するなど 機能拡張が進められている。内部事情はよく知らないが、限られた人員・予算で 細々と継続しているのであろう。

さて、この API を利用するにはデベロッパー登録というものを しなければならないことになっている。実際には無登録でも、 少なくとも書誌情報を RDF または JSON-LD 形式で取り出すことは可能で、 たとえば http://ci.nii.ac.jp/naid/110009810897.rdf などと URL の末尾に .rdf 等を付加すれば良い。おそらくこの登録というものは CiNii の側で API の利用状況を把握するために利用するのであろう。 有料という訳でもないし、素直に登録することとした。

ところで、 API 登録者は API 利用に関して 学術コンテンツサービス利用規程 なるものを遵守せよ、と要求されるのであるが、この規程というのが なかなか曲者である。たとえば第4条に、

(利用目的)
第4条 何人も自己の学術研究に利用するため,本サービスを利用するものとし,それ以
外の目的のために使用しないことに同意する。

とあるが、API を使用するアプリを作って第三者に提供した場合、 (自己ではなく)その第三者の学術研究のために API を利用したことになってしまうため、 通常の意味でのアプリ開発は不可能ということになってしまう。 アプリを開発者自身しか使わない場合は問題ないが、先述の通り、 NII 自体が過去にアプリコンテストなるものを開催して第三者使用を奨励しており、 明らかに矛盾している。

他には第5条2項の一、

一 複製,改変,翻訳及び編集等を行ってはならない。ただし,自己の学術研究に利用
するためダウンロードし又は印刷することができる。

アプリというものは適宜、 API で得た情報を編集加工してアプリ利用者に提示するものであって、 編集するべからずという要求は理解に苦しむ。

つまりこの条文は公開 API の提供を想定していない ものであって、API 登録者に遵守を求めることが無理なのである。 この点を CiNii の担当者は認識しているのだろうか。 この規程を修正するか、または API利用者用に別に規程を策定するか、 どちらかの対応が必要と思われる。 CiNii Web API が世間で利用されている形跡が少ないのは この規程の不備も原因のひとつなのだろうか。

まあ良い。規程の問題は当面無視する。